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陶磁器

(中国・朝鮮・日本)


37 加彩弁口壷


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中国
山西省大同県城西門外
遼時代(10〜11世紀)
高さ40.0cm
文学部考古学研究室・列品室

口縁を花弁状につまんだ弁口は、唐三彩などにも見られる西方起源の形と思われるが、遼の焼きものが唐代の古い形式をとどめているという一面を示しているのか、あるいは遼自体が西方との繋がりをもっていたことを反映しているのか、判断は難しい。釉をかけずに還元炎で焼成したため、器表が黒灰色に発色している。ほとんど剥落しているが、胴部にはもともと顔料で絵文様が描かれていたものと見える。こうした加彩の土器は時々遼墓からの出土が報告されている。日常に使用された実用本位の焼きものが副葬品として転用されたと推測されよう。しかしそこに、図らずも遼白磁や遼三彩には見られない、量感にあふれた独特の造形感覚をみとめることができる。

(矢島律子)


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