東京大学総合研究博物館
標本資料報告 第52号

縄文時代人骨データベース
1)保美

諏訪 元・水嶋崇一郎・坂上和弘

はじめに

東京大学総合研究博物館に収蔵されている縄文時代人骨は、本館標本資料報告第三号、「東京大学総合研究資料館収蔵日本縄文時代人骨型録」に掲載されている。この資料報告を作製する過程で、収蔵標本に系統だった登録番号が付された。この登録番号と共に、従来の研究者による分類番号と報告文献が記され、さらには標本ごとに個体骨格であるかなどの保存状況と、保存の良い標本の一部については性別、年齢情報が付された。この資料報告は、出版以来の20余年間、当コレクションの効率的な管理運営および研究利用の促進に役立ってきた。

この度は、上記の縄文時代人骨カタログをさらにアップグレードしながら、電算データベース化を実行することとした。その際、人骨コレクションの整理・管理状況を更新し、各標本の現存状況を記録し、標本および関連の基礎情報を系統だって再編することとした。その一環として、人類先史部門に収蔵されている未発表の発掘記録や古写真などを整備し、これらをデータベース情報の中に取り込み、標本群ごとの収集経緯の概要をまとめることとした。

電算データベース事業を推進するに当たり、系統だった再整理の作業工程を2000年度中に試行し、2001年度にはそれを実践しながらデータベースのフォーマットと情報化の方針を決定した。データベースの形式としては、標本ごとに画像付きデータシートをファイルメーカープロにおいて作製し、標本ごとの情報一覧と基礎情報の検索を可能なものとした。現在も電算データベース事業は進行中であるが、入力作業が終了したまとまった標本群ごとに、標本資料報告として、電子媒体に依らずに成果を順次出版物として保存する予定である。今回の資料報告はその第一部であり、愛知県渥美郡渥美町にある保美貝塚より出土し、本学に収蔵された縄文時代人骨に関するものである。

本資料報告は、筆者らだけでなく、松川慎也氏、中島雅典氏、桑村和行氏、中田将夫氏の標本整理作業によって可能となった。また、高橋昌子氏、山崎真治氏、百々幸雄氏(東北大学)、春成秀爾氏(国立歴史民俗博物館)、山田康弘氏(島根大学)、岩瀬彰利氏(豊橋市美術博物館)には様々にご教示いただいた。ここに謝意を表し、厚く御礼申し上げる。


2003年3月

諏訪 元




2005年1月付記

本データベースは、2003年3月の資料報告出版後に幾つかの変更、訂正を加えたものである。

現在表示しているものは2003年7月25日に最終更新したものである。

平成19年度科学研究費補助金使用

このページの先頭へ