金華山島のニホンジカデータベース(2005年1月15日)

本館ではニホンジカ標本のデータベース化を進めているが,そのひとつとして宮城県金華山島のニホンジカ集団の死亡集団の標本について以下のようなデータを集積している.この島は面積が956ヘクタールで宗教上の理由から動植物が保護されてきた.そのためシカ(ニホンジカ)個体数が多く,そのことが生態系全体に大きな影響を与えている.シカ個体数は1960年代から追跡されており,我国では最も長期調査が継続されている.調査期間中に少なくとも2回の「大量死」が起きた.そのうち1984年と1997年については系統的な死体回収がおこなわれ,その標本が本館に収蔵されている.通常の標本データ採集地と採集年月日が登録されるが,この死亡集団についてはほとんどの標本の採集地がピンポイントに特定されている点でユニークである.1984年の最終位置は地図上に点を落とし,各標本の位置を赤丸でかこったが,1997年については1984年の地図の上に示した.

今後,標本の計測値,年齢,写真などの付帯情報,またこれ以外の年の死亡集団についても情報を追加してゆく予定である.なお1984年の大量死については以下の論文がある.

表の見かた

番号は通し番号です.現地での回収,その後の整理の過程で重複等が生じるためいわゆる「ゴースト番号」がある.番号のつけかえをすると却ってトラブルを生じるのであえてそのままにし,データは空白にしてある.性はMがオス,Fがメス,「?」が性不明である.齢クラスは大泰司(1976)による第一切歯の摩滅段階である.数字の1,2,3は乳歯,ローマ数字は永久歯である.いずれも大きい値ほど年齢が高くなるが,雌雄で違いがある.頭骨,下顎骨,第一切歯は標本で+は回収したもの,?は回収していないもの(標本なし)である.

データベースの閲覧

表の番号をクリックすることで、標本データ採集地点の地図が見られます。