猿人って何?



 英語のape-manに相当し、元来はape「類人猿」とman「ヒト」の中間の原始的な人類祖先を指すことばでした。昔は、ジャワ原人やペキン原人などにも使用されていましたが、ここのところ「猿人」といえば、いわゆるアウストラロピテクス類を指していました。
 アウストラロピテクスとは、脳がまだ小さい(400ccから500cc程度、類人猿よりちょっとだけ大きいぐらい)が、直立二足歩行を行っていた人類祖先で、1924年に南アフリカで初めて発見され、属名アウストラロピテクス、種名アフリカヌス、アウストラロピテクス・アフリカヌスと命名された化石です。以来、類似した化石種が何種類も発見され、パラントロプスなど別な属名で呼ばれるものもあります。

互いに似ている面もあり、大局的には同じ進化段階のものとして、アウストラロピテクス類として一括されています。日本では、これらを「猿人」とし、原人より前の進化段階の名称として使われてきました。
 ラミダスが発見されると、私を含め、ラミダス猿人と呼んできました。さらに年代が古いカダバ、オロリン、サヘラントロプスが発見されました。いよいよアウストラロピテクスよりも原始的な人類祖先の様相が見えてきた訳ですが、まだ各々に研究途上で、それらの全貌の理解には至っておりません。ですが、例えば脳が小さく、なんらかの二足歩行をしていただろうとの見通しはついています。これらを「初期の猿人」として猿人の中にいれてもいいかもしれません。