前衛芸術としての新聞


アヴァンギャルド運動を支えた稀少紙

 

43. 隔週刊フィッリア指揮美術生活紙『ラ・チッタ・ヌオーヴァ(新都市)』

ピッポ・オリアーニ編集長
第一号、一九三二年二月六日発行
トリノ、ラ・チッタ・ヌオーヴァ指導部
個人蔵(旧マリネッティ・コレクション)

La Citta' Nuova : Sintesi del Futurismo Mondiale e di Tutte le avanguardie : Quindicinale di Arte-vita diretto da Fillia Georges Wildenstein(Director) + Philippe Diole(Editor in Chief) No.148, 73th Year(New Series), 1 November 1935 Paris, La Gazette des Beaux-Arts(Published by) 8pp., 594 x 420

トリノの未来派画家フィッリアことルイジ・コロンボが、一九三二年にピッポ・オリアーニを編集長に迎えて創刊した、モダニズムの建築、モード、インテリア、デザインの新聞紙。毎月五日と二〇日に隔週間で発行された。用紙の質は落ちるが、写真図版や複製図版は同時代の未来派諸紙に較べ格段に多い。本創刊号にはマリネッティの「未来派航空絵画宣言」をはじめ、「航空絵画」に関する記事が多い。三月一五日発行の第三号にはフィッリアとマリネッティの「未来派神聖芸術宣言」が掲載されている。新聞の最終頁は広告に充てられており、トリノの地場産業フィアットの見事な広告文字が見られる。発行は一九三四年五月三〇日第三年九号まで確認できる。


44.日刊文芸誌『コメディア』 

ガブリエル・アルフォー主幹
第一九年四四四二号、一九二五年二月一九日
パリ、フランス印刷所
個人蔵(旧岩崎旭コレクション)

FComoedia Gabriel Alphaud(Director) No.4442, 19th Year, 19 February 1925 Paris, Imprimerie francaise Provenance : Akira Iwasaki Collection Private Collection 4pp., 620 x 443

芝居、音楽、映画、バレー、ダンス、演芸、ヴァラエティなど、舞台芸術を中心とするフランスでもっとも有力な情報・批評日刊紙。一九〇七年に創刊され、第一次世界大戦後、ミュージック・ホールやカフェ・レストランを舞台にしたダンスや芝居の隆盛にのって、パリで発行部数をのばした。初期にはグラフ紙『コメディア・イリュストレ』を発行しディアギレフのバレー・リュス(ロシア・バレー)の紹介にも積極的であった。また、一九〇九年にパリで旗揚げしたイタリア未来派や、一九二〇年初頭のパリ・ダダの宣言集会とその後の顛末を詳細に伝えるなど、つねに時代の先端を行くものに対して目配りが利いており、現在でも二十世紀初頭の芸術文化を論じるさいには第一級の資料である。「ノイエ・タンツ(新舞踏)」に関する情報も豊富である。

 

45.月刊美術紙『ボザール(美術)』

ジョルジュ・ウィルデンシュタイン主幹+フィリップ・ディオレ編集長
第七三年(新シリーズ)一四八号、一九三五年一一月一日発行
パリ、ガゼット・デ・ボザール発行
Beaux-Arts : Chronique des arts et de la curiosite : Le Journal des Arts Mino Somenzi + Ambrosio Mazzoni(Directors) No.1, 1st Year, 10 October 1933-XI Roma, Direzione del Movimento "Sant'Elia" Provenance : Marinetti Collection Private Collection 6pp., 640 x 437

第二帝政下の一八六二年一一月二三日にパリで創刊された美術雑誌『ガゼット・デ・ボザール』が、美術、演劇、映画、文学、科学、美術市場に関する情報誌として一九三二年一二月一六日に創刊した美術新聞。毎週金曜日に発行された。サロン・ドートンヌを特集した本号を見てもわかる通り、どちらかというとサロン絵画を好む有産ブルジョワ層を購読者としており、記事で紹介される作品は一九三〇年代のフランス美術の王道をゆくものに限られている。本号まで発行を確認できるが、終刊の時機は確認できない。

46. 日刊紙『朝鮮日報』

第六四九九号、昭和一四年六月一一日発行
京城、朝鮮日報社
The Chosen-Nippo (The Korean Daily News, The Chosen-Nippo), No.6499, 11 June 1939, Keijo (Seoul), Chosun-Ilbo-sa, P.5, 547 x 405

『朝鮮日報』の学芸特集欄。鄭玄雄の「超現実主義概観」、金火+換基の「抽象主義小論」、催−人根培の「朝鮮美術展」評が掲載されるなど、韓国におけるモダニズム美術動向を伝える貴重な資料。アンドレ・ブルトン、サルヴァドール・ダリ、ホアン・ミロ、岡本太郎が写真版で紹介されている。

 

 

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