前衛芸術としての新聞
43. 隔週刊フィッリア指揮美術生活紙『ラ・チッタ・ヌオーヴァ(新都市)』
トリノの未来派画家フィッリアことルイジ・コロンボが、一九三二年にピッポ・オリアーニを編集長に迎えて創刊した、モダニズムの建築、モード、インテリア、デザインの新聞紙。毎月五日と二〇日に隔週間で発行された。用紙の質は落ちるが、写真図版や複製図版は同時代の未来派諸紙に較べ格段に多い。本創刊号にはマリネッティの「未来派航空絵画宣言」をはじめ、「航空絵画」に関する記事が多い。三月一五日発行の第三号にはフィッリアとマリネッティの「未来派神聖芸術宣言」が掲載されている。新聞の最終頁は広告に充てられており、トリノの地場産業フィアットの見事な広告文字が見られる。発行は一九三四年五月三〇日第三年九号まで確認できる。
芝居、音楽、映画、バレー、ダンス、演芸、ヴァラエティなど、舞台芸術を中心とするフランスでもっとも有力な情報・批評日刊紙。一九〇七年に創刊され、第一次世界大戦後、ミュージック・ホールやカフェ・レストランを舞台にしたダンスや芝居の隆盛にのって、パリで発行部数をのばした。初期にはグラフ紙『コメディア・イリュストレ』を発行しディアギレフのバレー・リュス(ロシア・バレー)の紹介にも積極的であった。また、一九〇九年にパリで旗揚げしたイタリア未来派や、一九二〇年初頭のパリ・ダダの宣言集会とその後の顛末を詳細に伝えるなど、つねに時代の先端を行くものに対して目配りが利いており、現在でも二十世紀初頭の芸術文化を論じるさいには第一級の資料である。「ノイエ・タンツ(新舞踏)」に関する情報も豊富である。
45.月刊美術紙『ボザール(美術)』
第二帝政下の一八六二年一一月二三日にパリで創刊された美術雑誌『ガゼット・デ・ボザール』が、美術、演劇、映画、文学、科学、美術市場に関する情報誌として一九三二年一二月一六日に創刊した美術新聞。毎週金曜日に発行された。サロン・ドートンヌを特集した本号を見てもわかる通り、どちらかというとサロン絵画を好む有産ブルジョワ層を購読者としており、記事で紹介される作品は一九三〇年代のフランス美術の王道をゆくものに限られている。本号まで発行を確認できるが、終刊の時機は確認できない。 46. 日刊紙『朝鮮日報』
『朝鮮日報』の学芸特集欄。鄭玄雄の「超現実主義概観」、金火+換基の「抽象主義小論」、催−人根培の「朝鮮美術展」評が掲載されるなど、韓国におけるモダニズム美術動向を伝える貴重な資料。アンドレ・ブルトン、サルヴァドール・ダリ、ホアン・ミロ、岡本太郎が写真版で紹介されている。
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