第2部 展示解説 動物界
二枚貝綱(Class Bivalvia) 二枚貝は多くの特徴的な形質によつて定義されてい る ( Girbet and Wheeler,2002) 。 (1) 体が側方につぶれた形になる。 (2) 頭部が分化していない。 (3)mantle lobe の存在(掘足類にも共通する) 。 (4) 側前面繊毛 (laterofrontal cilia) がある。 (5) 口の周縁に餌を集めるための唇弁 (labial palps) をもつ。 (6) 口球と歯舌がない。 (7) 外套線 (pallial line) の存在。 (8) 閉殻筋 (adductor muscles) がある。 (9) 軟らかい底質に潜入するための斧状の足があり、特に足の前側が発達する。 (10) 上方近接 (epiathroid) 型の神経系をもつ( 掘足類 にも共通する ) 。 二枚貝類の大多数の種は海に生息するが、二枚貝類の一部は淡水にも適応している (イシガイ目の全てとマルスダレガイ目の一部 ) 。多くは海底の底質中に潜入して生活する。しかし、一部のグループでは、石灰質を分泌して殻を固着させたり、足から足糸と呼ばれる有機質の糸を分泌して固着する。あるいは、岩や木材の中に穿孔するものもある。二枚貝類の食性は、浮遊物を食べる懸濁物食であるか、堆積物食である。限られた一部のグループ ( 隔鰓類) では肉食で餌動物を吸入して捕える。生殖は体外受精によって行われる。 二枚貝類全体の分子系統解析は盛んに行われてい るが、多くの解析例で二枚貝綱が単系統とはなってい ない。例えば、 Adamkewicz et al.(1997) の分析では、腹足類を除いて、多板類を外群として分析した場合のみ二枚貝が単系統になっている。一方、 Canapa et al. (1999) では腹足類のみを外群に用いた場合に二枚貝が単系統になっている。このような現象は解析 の対象 となる種数を増やした場合にも同様にみられ、原鰓類 が外群に近縁になる結果が得られる (Giribet and Wheeler,2002) 。 最も一般的に用いられている二枚貝網の分類体系 では、二枚貝綱は 5つの亜綱に分類されている ( 図 4) 。
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