鹿児島各県 西南珍聞第五号
東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫蔵
赤枠は新聞錦絵で確立した形を引用したものであろう。明治一〇年七月。松本平吉は、文化頃から活躍していた絵草紙屋で、『東京各社選抜新聞』というシリーズの版元でもある。
鹿児島各県 西南珍聞第五号
隆盛ハ其前旧知事君御直なる/探索方を勤居たる故国中の/地理ハ勿論諸国風土ミな/胸中にありて天資卓/絶なり殊更和漢洋の/学に/通じ▲/▲報国の志ざし厚く幕吏の為に/洛東の月照と倶に種々の艱苦を受■/遂に実功を貫き戊辰江戸操込の際勝安房を言伏難なく江戸城を/受取奥羽の戦ひを経て北海道に出張なし旧幕の英士を降伏なさしめ/全平定に及ぶの功莫大なるを以て陸軍大将参議を兼正三/位に任ぜられしが征韓論の合ざるより職を辞し帰県なし/田野に耕し楽ミ居しが明治十年二月上旬私学校生徒を/始め其余数名暴挙を企中原を捕縛し口実の証等と/虚謾の浮言を名義となし自ら大元帥と名のり/大軍を肥豊へ繰出し官軍に抗じ賊名/を受ると■も各所の激戦に数月を/送る中左の詠吟ありしよし/魁新聞に出たり/民草ハ萎ミゆく世に花荊刺もて人を何とがむらん/九重の御階の桜ちりちりて/国を守りの人やなからむ |