大きさ | 高さ31cm、直径44cm | |
---|---|---|
時期 | 紀元前6000年頃 | |
出土遺跡 | イラク、テル・サラサート2号丘15層 | |
履歴 | 1964年、東京大学イラク・イラン遺跡調査団 | |
所蔵 | 東京大学総合研究博物館 考古美術部門 |
テル・サラサート2号丘の発掘は 1956年から1976年まで4次にわたっておこなわれた。 本展示品は第3次調査時 (1964年) に出土した粗製の壷である。
北メソポタミアで土器が使われ始めるのは、 原ハッスーナ期といわれる時期である。 放射性炭素年代でいえば紀元前6000年頃にあたる。 サラサート遺跡では第15、16層がその時期に相当するから、 この土器はメソポタミア最古の土器の一つといえる。 当時の人々は既に農業をおこなっており、 泥壁の建物が立ち並ぶムラをつくって生活していたことが発掘でわかっている。
粗製で分厚い土器である。口縁部は欠けている。 大量の切りわらを混ぜた粘土で作られており、表面も粗い。 装飾は見られない。 胴が角張って龍骨形 (キャリネーション) をなしている。 器表は赤褐色であるが、割れ口をみると芯は黒色に近い。 すなわち、火力が弱く充分に焼成されなかったのであろう。 龍骨部にはかすかに織物の圧痕が見られる。 製作時に偶然ついたものであろうが、 当時の織物技術を知る上でも貴重な資料となっている。
この土器は、器形や表面の状態からみて煮炊き用ではなく、 貯蔵用容器であったと考えられる。 発掘では、中から嬰児の遺体が見つかった。 棺桶に転用されていたわけである。
この展示内容に関する最新情報や関連資料等は、随時、
東京大学総合研究博物館のインターネットサーバ上の
以下のアドレスで公開、提供していきます。
Copyright (C) 1997 Tokyo University Digital Museum