顔見世番付は、年に一度、十一月の顔見世興行に先立って出版され、 新しい年度の座組をあきらかにする。 京都のものは、極番付あるいは根本極などともいう。 形態形式には三都の差があって、京都のものは大判を半切にした横長のもの、 大坂のものは杉原紙一枚であって、のちには京都もこれに倣う。 江戸では大判一枚、上段には役者名が、下段には鳥居派絵師による絵が示される。
顔見世番付以外の番付は、原則として興行ごとに出された。 外題、配役、時の記載を基本とする。
役割番付は、京都のものは顔見世と同型のものを二枚一組、 大坂は半紙一枚、時期によって二枚組となり、 この形式は京都に取り入れられて残る。 対して江戸のものは一枚刷でなく、三丁の冊子形態をとり、 大きさは半紙本である。 一丁目には役者の定紋が示されるため、紋番付ともいう。
辻番付は、辻々に張り出されたり、 贔屓筋に配られたりしたものである。 上方では大判一枚を上下二段組とし、絵入りであって、 京都では横形式、大坂では縦形式が多い。 辻番付は江戸でより盛んで、残存も江戸のほうが断然多い。 江戸のものは大判一枚を横に使うのを基本とするが、 追加された出し物のための追番付は、ひとまわり小さな縦型のものが多い。
絵本番付は、 絵を主として狂言の内容を紹介する中本型の小冊子である。 上方のものは特に絵尽と呼ばれている。 今日最も多く目にする絵本番付の形式は、上方では天明頃、 江戸では寛政頃成立するものである。
番付は興行資料としては第一次のものであり、その一点一点は微細ながら、 全体としては膨大な量が残存している。 しかも異版改版がしばしばあるため、同じ日付、同じ外題のものであっても、 すべてに目を通して確認する必要がある。 現今、各所蔵機関で目録の整備が進みつつあるが、 カードによる整理には数量上の限界があり、 電算機によるデータベース化が最も望ましい。
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