『本郷キャンパスの百年』
『東京第一大学開成学校開業式之図』、錦絵
明治時代、附属図書館蔵
幕府の蕃書調所に端を発する開成学校は、明治6年10月神田錦町に新校舎を建て、
天皇を迎えて盛大な開業式を行った。
この大錦三枚続はその時の様子を描いた作品である。
数年前まではチョンマゲに着物姿であった人々が、
洋服を着て堂々とこの晴れやかな式典に参列している。
作者二代歌川国輝 (1830〜74) は、初代歌川国貞に学んで、
相撲絵、開化絵、鉄道絵などで活躍した浮世絵師であった。
とくに、幕末から明治初期にわたる開化の事物を主題とした開化絵では、
第一人者と見なされている。
『東都築地ホテル館之図』、『上州富岡製糸所』などはよく知られている。
もちろん、慶応3年 (1867) のパリ万国博覧会に出品された『浮世絵画帳』にも、
選ばれて彩管を揮っている。日本橋の版元萬屋から売り出された本図も、
国輝の開化絵における優れたジャーナリスティックな感覚
を遺憾なく示している。開成学校校舎は、木造二階建、擬洋風。
大蔵省土木寮技手の林忠恕の設計によると推定される。
この作品は、当時の建築をしのぶべき絵画資料としても、
きわめて貴重だといわなければならない。
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