43 白磁櫛描文碗
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中国
南宋〜元時代(12〜13世紀)
高さ4.9cm、直径11.6〜12.3cm
資料館建築史部門(K0041)
先が櫛状になった工具で器表をひっかくようにして文様を刻した、櫛描文の白磁碗である。土は粗く、高台の仕上げなども手荒い雑器である。しかし、手早い櫛描で描かれた楚々とした一枝の草花は不思議に日本人の感覚に訴えるようだ。櫛描文を多用したものでは村田珠光が好んだといわれる珠光青磁がよく知られている。これは福建省の同安窯を中心に中国南部各地で焼かれ、日本や東南アジアに輸出されたものである。中国陶磁全体から見れば下手な部類に入るが、日本の茶人の美意識にかなったものとして取り上げられ称揚されたものである。青磁と白磁の違いはあるが、この草花文碗もまた、広東や福建といった中国南部に広がる白磁窯の1つで焼かれたものと思われる。