東京大学総合研究博物館

「骨〜かたちと機能を支えるシステム」

展示解説


鉱物の骨組み

  1. 金雲母(産地=旧朝鮮砲子鉱山)
  2. 石英 (産地=岐阜県苗木)
  3. 正長石(産地=福島県石川)

 ここに展示してある鉱物標本は、本博物館が収蔵する鉱物標本の中でも大型の標本である。これらの鉱物は、いずれも原子から構成されている。原子の種類と並び方の多様性が物質の多様性の根本である。物質を構成している原子は、その種類と状態によって、非常に複雑で壮大な骨組みを構成している。原子を球で代表させてみると、およそのおおきさは0.1nmである。原子の骨組みを直接見るためには、すくなくとも1000万倍の顕微鏡が必要である!

 最新鋭の電子顕微鏡の倍率は、およそ150万倍であるが、得られた像を拡大することによって、かろうじて原子の骨組みを直接観察することが可能になっている。最も手軽に原子の位置を知ることができるのはX線回折による方法で、直接に目で見ることはできないが、コンピュータの力を借りて原子の像を再現することができる。その結果は、電子顕微鏡で得られた像と一致しており、すべての顕微鏡(物質)は、基本的には原子の規則正しい配列を骨組みにして構成されていることがわかる。ここに展示した鉱物も、1cm3あたり、およそ原子が1024個も詰まっている計算になる。

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