エスペラント・ユートピア

世界共通語によるプロパガンダ

 

様々な言語が行き交う世界にあって、ひとつの共通語を持つことが世界の平和の実現につながるのではないか。ポーランド人ザメンホフが考案したエスペラント語の普及運動は、第一次大戦後大きな国際運動に発展し、日本にもその共鳴者が生まれた。本資料は、一九一九年に「日本エスペラント協会」へ加入して以来、生涯をエスペラント普及運動に捧げた元文部省国語研究所所員石黒修(いしぐろ・よしみ、一八九九−一九八〇)の旧蔵品である。石黒は一九二七年世田谷の中原に東京国際語研究所を開設。三〇年オックスフォードで開催されたエスペラント世界大会に参加し、帰国後世界各国のエスペラント運動と定期刊行物の交換を介して、交流を行った。本資料は世界共通語エスペラントによる「インターネット」の存在を裏づける。

 

214.文学・芸術・演劇定期機関紙『ジョルナーレ・デル・ジョニオ(灯明)』

ジュゼッペ・ニコローシ主幹+アルベルト・パルンボ協同主幹
第七年九−一九号、一九二八年四月一−三〇日発行
カターニア(イタリア)、バルバジェッロ印刷所
旧東京国際語研究所石黒修コレクション
Giornale del Jonio(gia La Lanterna) : Periodico illustrato di Lettere, Arti e Teatri Giuseppe Nicolosi(Director) + Comm. Alberto Palumbo(Co-director) Nos.9/10, Year VII, 1/30 April 1928-VI Catania(Italy), Tipographia Barbagallo Provenance : Collection of Yoshimi Ishiguro, Kokusaigo-Kenkyujo, Tokyo 4pp., 500 x 350

文芸に関する情報が豊富で、図版と広告が多い。刊行年がファシスト党暦のローマ数字で表記されている。一部三十チェンティシミ。

 

215.隔週刊情報・論評紙『レスペラント』

ニッコロ・ラ・コッラ責任主幹
第二〇年一五号、一九三三年一〇月三一日発行
トリノ、トリノ出版会社印刷所
旧東京国際語研究所石黒修コレクション
L'Esperanto:Quindicinale di Informazioni e Commenti Nicolo La Colla(Director) No.15, 20th Year, 31 October 1933-XII Torino, Tipografia Societa Editrice Torinese Provenance : Collection of Yoshimi Ishiguro, Kokusaigo-Kenkyujo, Tokyo 4pp., 520 x 370

表題の刷り色である緑はエスペラント運動のシンボル・カラー。一九三四年のストックホルム大会の案内が掲載されている。一部三十チェンティシミ。

 

216.エスペラント人民大学機関紙『ラ・エスペランティスト』

エミール・プフェファー編集
第三年二四-二五号、一九二一年一一−一二月発行
ウィーン、ルドルフ・シュタンツェル印刷
旧東京国際語研究所石黒修コレクション
La Esperantisto:Organo de Esperanta Universitato Popola Dr. Emil Pfeffer(Editor) Nos.24/25, 3d Year, November/December 1921 Wien, Rudolf Stanzell(Printed by) Provenance : Collection of Yoshimi Ishiguro, Kokusaigo-Kenkyujo, Tokyo 4pp., 475 x 315

ウィーンで発行された機関紙である。兵庫、岡山、大阪、東京などからの通信が掲載されている。日本国内での定価は一部五銭となっており、これはフランス、ベルギーの二十サンチーム、イタリアの三十チェンティシミ、ドイツの八十ペニヒなどに相当したことがわかる。

 

217.商業・交通・産業等世界経済定期機関グラフ週刊紙『モンダ・クリエーロ(世界郵便)』

ニコラ・リサック責任編集
第四号、一九三〇年八月一日発行
サラエボ、アンテ・ツィムンコヴィッチ博士所有
旧東京国際語研究所石黒修コレクション
Monda Kuriero:ilustrita semajna organo por komerco, trafiko,industrio kaj ciuj aliaj brabcoj de monda ekonomio Nikola Lisac(Editor in Chief) No.4, 1 August 1930 Sarajevo, Dr. Ante Simunkovic(Vlasnik) + "Obod" J. Karic(Printed by)  Provenance : Collection of Yoshimi Ishiguro, Kokusaigo-Kenkyujo, Tokyo 4pp., 475 x 315

石黒修の宛名と切手貼付。ユーゴスラビアのサラエボで発行された機関紙で、商業、交通、経済等、経済界のあらゆる分野にわたるイラスト入り週刊紙。図版が多用されている。

 

 

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