理性と規矩

 

キリスト教の図像学には、万物の創造主が両腕を広げて円盤を抱える姿を表したものがある。広げられた両腕がコンパスに姿を変え、それをもって大地を計測する人の姿で神による天地の創造の主題が示されることになる。このようにキリスト教的な宇宙開闢説においては、計測器具とそれを扱う理性的な精神が重要な役割を果たしている。「定形 ( かたち )」なき「地」すなわち混沌 ( カオス ) は、「理性と規矩」によって秩序ある世界 ( コスモス ) に転化する。 一見、人間的な事象とも受け止められる「理性と規矩」は、宇宙の成り立ちに関する神話と深く結びついているのである。

 

 

HOME


Copyright 2003 Mark Dion & The University of Tokyo