人間

 

古来、宇宙開闢説のなかで人間の果たす役割はささやかなものでしかなかった。「水圏」 、 「地上圏」 、「地下圏」 、「気圏」のすべてに君臨する存在になった現在においてもそうである。しかし、動物学的な「種」 としての人間も、また物事を認識し、事物を創造し、世界を想像する主体としての人間も、それ自体驚異的な存在であり、その活動の遺産にも瞠目すべき点が少なくない。この遺産をわれわれは「文化」と呼び慣わし、欧米の文化圏ではそれが自然と対比するものとして位置づけられている。とはいえ、人間の考案する「フォルム」や「システム」には、すべて自然界に見いだされるものとの類縁性が認められる。 これは他ならぬ人聞が、自然界を内包する大きな宇宙的システムの構成要素のひとつであることの証なのである。

 

 

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