水圏

 

古代ギリシャの自然哲学者は宇宙の成り立ちを、火と水と空気と土の「四大元素」によって説明 しようとした。眼に見えるものも、そうでないものも、何事につけ実体化して見せることを好んだ彼らは、火を松明で、水を流水で、空気を鳥で、土を蛇でそれぞれ表し、各々の特性によって人間の気質まで四つのタイ プに分類してみせた。恒星の巡りに示される大宇宙 ( マクロコスモス ) の摂理が、人間という小宇宙 (ミクロ コスモス) までも支配するという照応論もこのときに始まった。「水圏」といえばすぐに魚類を思い浮かべるが、水は生きとし生けるものすべてのものに通有な質料でもあるため、すべての生命体がこれに属する。漢字の「海」には「母」が含まれる。海洋をはじめとする 「水圏」は、すべて生き物の母胎である。


 

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