− 落合 慶広・佐藤 隆・谷口 行信・南 憲一・塩崎 貴司・児島 治彦・曽根原 登 −
近年、ディジタルカメラ、カラープリンタなどが普及しつつあるが、これらを用いて撮影・印刷された画像は、必ずしも元の被写体の正確な色を表わしてはいない。しかも、カラー画像を取り扱う機器は、一台ごとに色ずれの程度が異なるため、個別に色を補正する必要がある(図1)。特に、インターネットを介した電子博物館・遠隔医療など正確な色情報を必要とする分野においては、展示品の正確な色の再現、正確な診断を実現する色補正技術が望まれていた。
図1 電子博物館における色ずれ
そこで、NTTが開発した人工知能を用いた色補正技術を用いることにより、各機器ごとに異なる色ずれ特性を学習により自動獲得し、これらを個別に補正することが可能となった。
例えば、ディジタルカメラの色補正では、初めに、予め色の値が既知である色票パネルを撮影し、この撮影画像から色の値を取得しておき、人工知能を用いて撮影画像中のずれた色を元の色に戻すように学習する(図2)。その後、学習結果を用いて任意の画像の色を補正できるようになる。この学習では、高々、数百色の色についての色ずれ特性のみしか学習しないが、学習後には数万色もの色を補正できるようになる。
図2 人工知能技術によるディジタルカメラの色補正更に、展示品の観察者側で表示するモニタについても同様に色ずれを補正することにより、ディジタルカメラ、モニタにより発生する色ずれを除去した画像を再現することができ、正確な色情報を観察者に伝達することができるようになる(図3)。
図3 電子博物館における色補正
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