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横浜国際客船ターミナル

早川邦彦建築研究室


基本理念

(1)“移動”の装置体

ターミナルは、交通=移動に伴う、動き=流れの変換である。

そしてその移動とは、人、車、物、エネルギーであり、また、リアルタイムの情報と意味の流れである。私たちの提案は、車路、エレベーター、エスカレーター、オート・スロープ、ブリッジや、映像を発信するジャンボ・モニターやスクリーンなど、“移動”の装置群がシンプルな形態の中に網目状に錯綜する装置体として横浜国際客船ターミナルを促えている。船旅での静かな動きから、様々な流れの渦巻く移動の装置体への突入、それは次なる旅への変換点となる。また、クルーズ・ターミナル機能と市民利用アメニティ機能とが分節化されつつ一体化した当計画案は、都市はさまざまな“流れ”の集積体であると考えれば、大桟橋というアイランドに浮かぶ線状都市となる。

(2) 空間と技術の統合 Integration of space and technology

大スパンをはじめとし、建物の外周部を包みこむダブルスキンのスペースフレームとPSプレコン柱梁構造という2つの構造形式の導入、そしてそのダブルスキンに内蔵された設備機器群、さらに、それらが工場生産され、船による海上輸送とトラヴェリング工法による桟橋上での組立など、私たちの提案は架構体、設備、工法が完全に一体化している。

恣意的な形態や、技術が空間・形態の背後に隠れるのではなく、空間と技術が統合したもの、それが装置体としての本計画案となっている。

景観構成

海からそして陸=街から「庭港」の構成の要素として、のびやかでシンプルなシルエットをもつ当計画案は、船を引き立て周辺からの眺望や見通しを確保するものとなっている。

断面構成

クルーズと市民の共用施設を中間階に挟んで、両者の利用施設群は明快に分離されながら、かつ吹抜け空間を通して一体感を創出している。

イラスト(上空から)


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