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アーシアン—心臓/アーシアン

高崎正治
高崎正治都市建築設計事務所
物人研究所


アーシアン—心臓アーシアン—心臓
アーシアン—心臓
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アーシアン—心臓
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アーシアン—心臓
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アーシアン—心臓
建築はつねに、顕赫する場所、形態について明確な意志を持つべきである。地域の持つ自然環境、歴史的背景に呼応し、その個性化と活性化に寄与する建築は、その土地と共に生き続ける生命体として生き生きとした建築の魅力を放射するであろう。

環流する時間軸上で時代的、社会的役割を担い得る建築は、<現在>という時代と社会に象徴的に屹立する魅力を持ち、同時に到来すべき<未来>に兆す新たな価値観を提言し、具現化するものでなければならない。それゆえに、顕現の地においては必ず、無限の過去から無限の未来へと流れる時間のベクトルを知覚しなければならない。この時間軸の意識に欠け、顕現の地との共生の意思が脆弱な今日的建築は、単に現代という時代の<現在>に顕現したにすぎない。<現在>という時代を触発し、社会を覚醒するパワーを包含し得ない建築は、建築が担うべき時代的、社会的役割に、いかにも無意義な存在として露顕するであろう。

地球規模で自然環境の危機が叫ばれる時代にありながら、時代を、社会を睥睨する自然の威力のまえに、今日的建築はあまりに茫然と佇立してはいないか。また、多くの<現在>建築は、時代変化に伴う社会変容に摩耗し、色褪せてゆくが、それに比して、自然はこのような変容に揺るぐことなく、無限の過去から無限の未来へと貫流する時間軸上で、超然と息吹き続ける。この自然の強靭な美への畏敬の念こそ、私の目指す環境生命体としての建築が持つべき顕現の意志の発露である。現代文明の硬化に警鐘が鳴らされる今日、建築の未来への論考では、建築が如何に自然の威力のまえに無気力であるかについて瞠目すべきであろう。

私は、顕現の地を触発し、覚醒し、建築自らも悠揚と息吹き、敢然と生き続ける<環境生命体>としての建築を追求している。私にとって独自の法則とは紛れもなく自然環境に内在するイデアと建築イデアとの精神的交流による協働であり、つねに、自然の威力に真摯に挑みたい。それは決して自然に対しさらに強力なエネルギーの放射で拮抗することではなく、建築が象徴的自然としてそこに存在し、周辺の自然の環境と呼応し、交感することにより、自然と人間の有機的関係を誘発するものでなければならない。

顕現の地に流底する<無限の過去——無限の未来>の時間軸、そこに開示されるその地域の歴史性、精神性、原性。さらにそこには、予言すべき未来が照射される。環境生命体としての建築は、顕現の地に流れるこの絶対的な時間軸を基にイデアが構築される過程において、イデアや技法を越えたスピリチュアル・エネルギーというべきものへの衝動に奇襲される。この衝動こそ、まるで生きているような、環境生命体としての建築の、象徴的自然の息吹きであろう。

私の環境生命体としての建築は、<無限の過去——無限の未来>を包含し、現代という時代への着地ではなく、地球へ着地する建築である。


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