立体スキャンで得られたデータは、しばしば不良部分がある。 例えば複雑な形は影になる部分が生じ、レーザー光線が届かず、 穴の開いたデータとなる。 このような場合、色々な方向から立体スキャンを行い、データを得る。 色々な方向からのデータを合成して1つのデータにしたり、 光の反射の加減で発生したゴミデータを取り除いたりする 補正の段階が次の過程である。 この段階では、ハードディスクにためられたデータを、 コンピュータ画面に表示して人間の目で確かめながら作業を進めていく。 勘とノウハウの必要な過程である。
立体データから立体物を作り上げる装置を造形装置と呼ぶ。 造形装置の仕組みには色々なものがある。 例えば、 コンピュータ制御されたドリルで自動的に木を削り立体を作る方法や、 強いレーザー光線を当てると固まる光硬化性という 性質を持った液体樹脂を使い、立体データにしたがって レーザー光線を発生させ樹脂を固める光造形装置がある。 本展では、光造形装置を用いて立体データを作った。 光造形装置は、中に空洞がある等の複雑な形を作ることが出来るので 壷などのレプリカを作るのに有用である。
レーザ光によって硬化する樹脂を使ってデジタルデータを形にして行く機械
(提供:NTTデータ通信株式会社)
出来上がった立体はやや透明な樹脂の色をしている。 従って、重さも色も実物とは異なる。 実物の色や重さを実現するためには、重りを入れたり塗装をする。 もし、触れたときに音が出るなどの工夫をするためには、 タッチセンサーやマイクロチップが入れられる。 これが終了してレプリカは完成する。
立体データをスキャンするために数時間を要し、補正には1日くらいかかる。 また、立体を造形装置で作るのに1日必要である。 その後塗装などの処理に、数日程度かかる。
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