デジタル著作権
デジタル情報は非常に簡単に複写でき、
複写するとまったく同一のものが出来る。
また一部をサンプリングしたり、部分的に改変するのが容易である。
そのため、
デジタル情報はいったん公開してしまうと著作権者の権利が守られにくい。
ネットワークではさらにそれが助長され、
インターネットは巨大なコピーマシンとも言われる。
そもそも著作権法は利用者が複写には関与しない時代に生まれたが、
技術の発達と共にさまざまな複写機器が手に入りやすくなった。
現在の著作権法では
デジタル情報のネットワーク上における著作権も未整備である。
著作権者の権利を守るために技術的に対処する方法が
いくつか考えられている。
例えばデジタル情報の中に電子の透かし (Digital Watermark) を
入れておく方法、専用ソフトウェアを使わないと
鑑賞できずプリントもできないようにする方法などがある。
デジタル画像に著作権情報を電子の透かしとして入れておくと、
電子透かしを読み取るソフトウェアがあれば
ネットワーク上を流れている画像の著作権者を知ることが出来る。
電子透かしは画像をトリミングするなど部分的に利用しても消えない。
またデジタル情報がコピーされるのは必然と考えて、
見方を変えて情報が利用されるたびに料金を引き落とす
ペイ・パー・ユーズ (pay per use) 型のシステムも考えられている。
例えば、情報を暗号化された形式で配布し、
暗号を復号化するためには料金を支払う必要がある。
デジタル著作権が守られるためには法律の整備が欠かせないが、
インターネットによりボーダーレス化が促進される時代においては、
一国の著作権法だけでは著作権は守りにくい。
情報の発信国と受信国が異なる場合はどうするのかなどの問題が生じてくる。
新しい時代の著作権が
WIPO (World IntellectualProperty Organization、世界知的所有権機構)
で1996年12月に協議され、これをもとに各国の法律に反映される予定である。
(坂村 健)
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