塑造彩色
中国
唐時代(8世紀)
高さ69.0cm
文学部考古学研究室・列品室
頭に被った兜は前立飾りをはじめ幾つかの装飾がつき、耳を覆う部分は外向きに翻っている。身体に纏った鎧は、頚護、龍頭形の被膊、前胸円護、腹護、護臍円護、骸尾、膝裾、吊腿などからなるいわゆる唐甲制によるものである。
白下地の上に施されていた彩色はかなり剥落しているが、眼の墨彩、甲に朱で描かれた文様などがわずかに残存している。
ずんぐりとした体部に比して頭部がかなり大ぶりにつくられ、全体にやや形式化した表現ながらも、頬から顎にかけての豊かな肉付けや、下半身の纏った衣をリズミカルに反転させるなど工夫を凝らした造形は、敵を威嚇するようなしぐさや恐ろしい形相とあいまって、天王像本来の迫力をよく表わしたものとなっている。
(小泉惠英)