陶磁器
(中国・朝鮮・日本)
44 白磁瓜形水注
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中国
宋時代(11〜12世紀)
高さ22.2cm、直径11.9cm
資料館美術史部門
玉のように白い焼きもの「白磁」は、器を形作る胎とその上にかける釉とから可能な限りの不純物を取り去って初めて生まれる、最も高度な陶磁である。白磁が登場したのは唐代であるが、宋代に入ると白磁を産する窯は中国各地に見られるようになる。北の定窯、南の景徳鎮窯が2大中心地であったが、窯や燃料の違いによって白磁の色合いが異なり、定窯の白磁はやや黄色みを帯びた「牙白」、景徳鎮窯の白磁は青みを帯びた「青白」磁(影青)と捉えられている。
この水注は非常に薄手で、鋭い作りを見せる。こうしたシャープな白磁は景徳鎮系特有のもので、細く伸びる注口と、直立した首に添うように伸びる把手と瓜形の胴部とを特徴とする、宋代に盛んに作られた水注である。ここでは補修となっているが、必ず把手の頂上に小さな穴のある鈕がつき、へこんだ中央部にやはり穴のある鈕がついた蓋がついているものである。2つの穴にひもを通してつなげていたのであろう。また、宋墓の壁画に時々見受けられるように、輪花の深鉢にこの水注が納められるようになっていたようで、おそらく水注には温酒をいれ、輪花鉢に湯を注いで温めたものと思われる。
(矢島律子)
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