朝鮮
慶州
統一新羅時代(8世紀)
高さ27.5cm
文学部考古学研究室・列品室
やや末広がりの高台がついた胴部は腰が張った重々しい形であり、それに丈高く盛り上がった蓋がついている。蓋についている鈕は壺形である。蓋と胴部の合わせ付近で横に大きく張り出している突起には穴が開いているが、上下に突起を合わせて穴に釘をさし込み、蓋を固定したものと思われる。全面に瑶珞文や縄簾文、花文が細かく押印されている。こうした印花文は金属器から来るものと推測され、また、次代の高麗青磁に見られる象嵌技法との関連を考えさせる。釉はかかっていないが、焼成温度が非常に高く、灰青色に固く焼き上がっており、吸水率も低い。すでに高度な技術を新羅陶磁が保持していたことを窺わせる。特にこの骨壺は重厚な器形と華麗な印花文が融合して荘重な作となっている。
(矢島律子)