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自然体系展(鉱石標本)
はじめに
   地殻を構成している主要な鉱物はケイ酸塩鉱物で、その構成元素であるケイ素の存在質量比は 27.7% 、酸素は 46.6% である。鉄の存在量が多いのは、鉄がケイ酸塩鉱物の構成元素になっているからで、金属として採掘可能な鉄が多いわけではない。
   僅かしかない有用元素が、どうして採掘可能なほどに濃集するのであろうか。ある元素が濃集するためには、その元素を含む物質が地球のなんらかの活動のなかで変化して、例えば溶融して液体になって移動可能になり、移動先での物理化学条件で選択的に固化して濃集することも一つの可能性と考えられる。
   ここでは鉱床を成因によって火成鉱床、熱水鉱床、堆積鉱床に分類した。火成鉱床と熱水鉱床は、代表的な移動・濃集の形態で、ある地球のマグマ活動に伴って形成された鉱床である。火成鉱床はマグマから有用元素を多く含んだ鉱物が選択的に結晶化して濃集した鉱床であり、熱水鉱床はマグマによって生じた熱水に有用元素が溶け込んで移動し晶出したことによって形成される鉱床である。堆積鉱床は、鉱石を含む岩石が風化や浸食によって場所を移動する間に、機械的に選択され堆積したり、化学的に溶解・析出して有用元素が濃集して形成される鉱床である。
[火成鉱床]
正マグマ鉱床とペグマタイト鉱床
正マグマ鉱床では、幌満鉱山(ニッケル)、音調津鉱山(黒鉛)、富本鉱山(銅)、夏梅鉱山(ニッケル)、広瀬鉱山(クロム)を展示した。
ベグマタイト鉱床では、乙女鉱山(水晶、タングステン)、苗木地方(正長石、トパーズ)、田の上山(正長石)を展示した。
[熱水鉱床]
鉱床の形態によって、鉱脈鉱床、塊状鉱床、スカルン、班岩銅鉱床に分類する。
鉱脈鉱床について鉱脈鉱床を浅熱水鉱床とゼノサーマル鉱床に分類する。
1)浅熱水鉱床
稲倉石鉱山(マンガン・金・銀・鉛・亜鉛)、イトムカ鉱山(水銀)、鴻之舞鉱山(金・銀)、手稲鉱山(金・銀・銅)、豊羽鉱山(銀・鉛・亜鉛)、千歳鉱山(金・銀)、阿仁鉱山(銅・金・銀)、荒川鉱山(銅・鉛・亜鉛)、尾去沢鉱山(金・銀・銅)、鹿折鉱山(金)、細倉鉱山(鉛・亜鉛・金・銀・銅)、佐渡鉱山(金・銀)、三川鉱山(金・銅・亜鉛)、高玉鉱山(金・銀)、清越鉱山(金・銀)、土肥鉱山(金・銀)、津具鉱山(金・銀・アンチモン)、大和水銀鉱山(水銀)、倉谷鉱山(金・銀)、尾小屋鉱山(銅・亜鉛・金・銀)、市ノ川鉱山(アンチモン)、対州鉱山(鉛・亜鉛)、菱刈鉱山(金・銀)産出の鉱石を展示。
2)ゼノサーマル型鉱床
高取鉱山(タングステン)、足尾鉱山(鋼、錫、タングステン)、西津鉱山(銅・鉛・金・銀・ビスマス)、平瀬鉱山(モリブデン)、鐘打鉱山(タングステン、鋼、錫)、河守鉱山(銅・銀)、明延鉱山(錫・鋼、タングステン)、生野鉱山(銀・銅・亜鉛、錫、タングステン)、中瀬鉱山(アンチモン、金・銀)、多田鉱山(銅・銀、錫)産出の鉱石を展示。
塊状鉱床
1)黒鉱鉱床
小坂鉱山(銅・銀)、釈迦内鉱山(鋼・鉛・亜鉛)、花岡鉱山(銅・鉛・亜鉛)、土畑鉱山(銅)、与内畑鉱山(銅・鉛・亜鉛)を展示。
2)キースラーガー鉱床
茨城県日立鉱山(銅・硫化鉄)、愛媛県別子鉱山(銅・硫化鉄)、宮崎県横峯鉱山(銅・硫化鉄)の鉱石を展示。
スカルン鉱床
釜石鉱山(鉄・銅)、和賀仙人鉱山(鉄)、赤谷鉱山(鉄)、八茎鉱山(タングステン・銅)、秩父鉱山(銅・鉛・亜鉛・金・銀・鉄)、神岡鉱山(鉛・亜鉛・銅)、都茂鉱山(銅・鉛・亜鉛)、長登鉱山(銅・コバルト・アンチモン)、尾平鉱山(錫・銅・アンチモン・金)の鉱石を展示。
[堆積成鉱床]
野田玉川鉱山(マンガン)と横根山鉱山(マンガン)産出の鉱石を展示。
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