[The University Museum]

『本郷キャンパスの百年』


理科大学化学教室、正面
大正4年5月竣工、大正6年頃撮影
『東京帝国大学一覧』大正6年より

我が国の本格的鉄筋コンクリート建築としては初期の例である。 従って構造設計は建築系出身者ではなく土木工学科出身の柴田畦作が担当し、 設計は建築学科出身の山口孝吉である。L字形プランの隅部に入口を設け 両翼に教室、実験室を配する。外観は淡紅色タイルと石貼りで、 開口部枠取の白色石材が規則的なリズムをつくる気品に満ちた建築である。 中庭に面した側も同様の仕上げが施されている。古典主義的モチーフを用いながら、 むしろ意識的にそれを崩して様式の再構築を目指す広義のフリー・クラシック の範疇に入れることができる。大正初期特有の作風といえよう。 大震災以前に建造された遺り少ない現存例の一つ。

[理科大学化学教室、正面大正4年5月竣工、大正6年頃撮影『東京帝国大学一覧』大正6年よりの画像]

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