沖ノ鳥島と南鳥島は,日本の南端と東端に位置する孤島であり,その周囲に 40万km2 の排他的経済水域を持っている.沖ノ鳥島は日本で唯一熱帯に属する ,南鳥島は唯一太平洋プレート上にある島であり,生物地理学的,地球科学的 にも重要なフィールドである.さらに両島の周辺海域には,豊富な水産・鉱物 資源が存在する.

両島における調査研究を促進するためには,両島においてこれまでに得られ た科学的情報を収集・整理し,広く発信することが必要である.本データベー スは,両島についてこれまでに公表された論文,報告書,書籍,学会要旨,記 事と,地形図,海図,水路誌等を収集し,検索可能な形で東京大学総合研究博 物館のウェブデータベースにアップしたものである.

公開可能な資料は,データベースから直接 pdfにリンクできるようになってい る.著作権等の関係で公開できない資料も,東京大学総合研究博物館で閲覧す ることができる.

本データベースが広く活用され,沖ノ鳥島,南鳥島の調査研究が進むことを 期待する.


資料編

地図・海図編


沖ノ鳥島・南鳥島における近年(2023年以降)の論文,学会報告等を資料編に追加した.(2026/3)


沖ノ鳥島
沖ノ鳥島(東京都提供)
南鳥島
南鳥島(海上保安庁提供)

データベースの作成は,東京大学海洋アライアンス「沖ノ鳥島・小島嶼国プ ログラム」が,東京都の委託を受けて行った.海洋アライアンス,同プログラ ムメンバーとメンバーでもある,国土交通省,水産庁や,海洋情報部ほか関係 機関には,データの収集について格別のご配慮をいただいた.関係機関に心か ら感謝します.



沖ノ鳥島・南鳥島における近年(2023年以降)の論文,学会報告等リスト

 本整理は,既存データベースに基づき,主に2023年以降の論文・学会発表について,本文中に「沖ノ鳥島」「南鳥島(Marcus Island)」の記述が確認できるものに限定して抽出した結果に基づくものである.博物館で公開しているデータベースが作成された2022年以降の文献を収集するために,Google Scholar,J-STAGE,CiNii Research,researchmapを主として用い,必要に応じてWeb of ScienceおよびScopusにより査読論文の精査を行った.これらにより抽出した文献について,タイトル検索に加えて本文確認を行い,対象海域との直接的関連性を担保した.

まず,全体として明確に認められる特徴は,両島における研究の「二極化」である.すなわち,沖ノ鳥島ではサンゴ礁生態系に関する観測・評価・修復に関わる研究が継続しているのに対し,南鳥島ではレアアース泥やマンガンノジュールに代表される深海鉱物資源に関する研究が急速に拡大している.この対比は,研究対象の性質および社会的要請の違いを強く反映したものである.

南鳥島に関しては,地球化学的研究により高濃度のレアアース泥の存在が明らかにされて以降,研究は資源評価の段階から採取・揚鉱・輸送といった工学的課題へと進展している.特に2023年以降は,深海底における採鉱システムやスラリー輸送など,実用化を前提とした研究が増加しており,基礎科学から応用・実装段階への移行が顕著である.また,これらの研究は大学単独ではなく,SIP等の国家プロジェクトを中心に推進されており,資源開発と環境影響評価を含む総合的研究へと発展している.このことは,南鳥島が単なる学術的対象から,経済安全保障と結びついた国家的資源拠点へと位置づけが変化したことを示している.

一方,沖ノ鳥島における研究は,サンゴ群集構造,共生藻多様性,およびサンゴ移植等の修復技術に関するものが中心であり,長期的なモニタリングと応用的研究が主体となっている.新規テーマの出現は限定的であり,研究の多くは既存知見の継続的検証や環境変動への応答評価に位置づけられる.また,近年は発表数自体が減少傾向にあり,研究の重心が他地域のサンゴ礁へ移行している可能性も示唆される.

両島に共通する新しい傾向として,研究の「プロジェクト化」と「分野横断化」が挙げられる.すなわち,個別論文としての成果だけでなく,大規模プロジェクトの中で地球化学,海洋物理,生態,工学,さらには政策的側面を含めた統合的研究が進められている.このため,研究成果の把握においては,論文のみならず報告書や学会発表を含めた総合的な情報収集が不可欠となっている.

以上より,2023年以降の研究は,南鳥島においては資源開発を軸とした急速な展開,沖ノ鳥島においては生態系研究の継続と成熟という対照的な構造を示している.この変化は,両島の研究対象としての性格が,それぞれ「国家戦略資源拠点」と「生態系保全・応用対象」へと転換しつつあることを示すものであり,今後の研究およびデータベース構築において重要な指針となる.

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