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本田 雅徤 隕石標本
はじめに
Gibeon
Gibeon 鉄隕石(330g)
 
Imilac
Imilac 石鉄隕石(51.5g)
 
Roy
Roy(1933)隕石(90.9g)
 本データベースに掲載されているのは、世界的に著名な隕石研究者で、隕石中の宇宙線生成核種の研究から、宇宙核化学を発展させた世界的なパイオニアである故本田雅徤名誉教授(東大・物性研究所を1982年に退官)の隕石コレクションである。本田先生は2013年2月に永眠されたが、研究に用いられたコレクションが多くのお弟子さんの一人で、本田先生と隕石の共同研究を続けていらした日本大学理学部の永井尚生先生の下にあり、研究に活用するためにと2020年11月に当館に寄贈を受けたものである。
 本田先生は92歳で亡くなられるまで現役で研究を続けられ、隕石の研究に放射化学の手法を用いた宇宙化学で世界的な成果を多く挙げられたことが有名である。それだけでなく、分析化学、核・放射化学、地球化学など幅広い研究分野においても活躍された巨人であった。1954年に日本のマグロ漁船第五福竜丸がビキニ環礁でアメリカ軍の水素爆弾実験によって被爆した際の灰の分析も行われている。
 今回、寄贈された隕石は、71種類、約700個に及ぶ。これらの中には現在では入手が困難になっている試料も数多く含まれており、その科学的価値は非常に高い。本田先生は、鉄隕石を主体とした宇宙線核種の分析を主に手掛けられていたことから、鉄隕石が主体のコレクションになっており、特にGibeon鉄隕石が268点もある。試料には分析に使われたことを物語る切断跡やドリル跡などが見受けられるものもたくさんあり、研究に取り組まれた往時の先生の姿が偲ばれる。また、コレクションには、石鉄隕石や石質隕石も含まれ、幅広い隕石試料に宇宙核化学の研究を行おうとした先生の研究の一端が垣間見られるようである。すべての試料には本田先生が詳細に重量などを記したラベルも付属しており、寄贈前には永井先生によって整理がされたことから、すぐに研究に活用できる状態になっている。
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鉱物 / UMDB(東京大学総合研究博物館データベース)