亘理俊次先生のプロフィール    Professor Dr. Shunji WATARI 1906-1993
亘理先生の経歴  1906年6月10日、東京に生まれる。 1932年、東京大学(当時は東京帝国大学)理学部を卒業。 副手から助手、講師、助教授を経て、教授となり、1967年に定年を迎えるまで東京大学理学部植物学教室に勤務された。 その後、千葉大学で1972年まで教授をつとめられた。 1993年逝去。
亘理先生の業績  亘理先生の研究内容は多岐にわたる。初期にはマメ科、ユキノシタ科、カエデ科の葉柄の解剖学的研究、さらに第三紀の材化石を中心とした木材解剖学が主となり、日本の各地からの石化化石にもとづいて多くの新種を記載された。考古学遺跡の植物遺物の鑑定も多くされている。
 また、亘理先生は、その生涯を通じて、おびただしい数の植物写真を撮影された。その写真は、植物学者として植物の形態的特徴を鋭くとらえたもので、植物学的に重要な情報を多く含んでいる貴重なものである。
 また、植物そのものだけでなく、農作物としての植物の栽培のようすや、藁葺き屋根の上に補強のために植えられた植物(草棟、芝棟)なども多く撮影されている。これらは、現在では見られなくなったものも多く、日本における植物の栽培の歴史を示すだけでなく、民俗植物学、建築史などのうえからも大変興味深い。
 これらの写真の一部が、先生が1993年に他界された後、当館に寄贈された。
 これらの写真は、多くの植物図鑑や百科事典などに使用されたが、亘理先生ご自身の著作としては、写真集「植物(全6巻)」(第一法規,1961-1964)のほか、「芝棟」(八坂書房,1991)等がある。
 
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