東京大学構内遺跡出土品

発掘された遊び

江戸時代の特徴の一つは、子どもを主体としたものが登場したことである。

「寺子屋」「節句行事」「お稽古」、そして「絵本」や「おもちゃ」、また『小児必要養育草』のような育児書も出版された。出土した資料の中にも子どもが使用したものが多くある。

江戸の子どもたちの遊びの特色は、年中行事や当時流行した疱瘡などの病気除けの信仰と結びついたものが多いことである。お正月に行われた、羽根つき・独楽回し・鞠つき・毬杖などは、鬼(病気や悪事)を追い払うための呪いであった。お正月の様子は浮世絵や絵画の題材に使用された。

全身を赤く塗った人形や玩具は「疱瘡よけ」(疱瘡は死亡率の高い、子どもの流行り病であった)・立っている西行は「盗難よけ」・座った西行は「腰痛よけ」・鳩や鳩笛は「食べ物が喉につまらないように」・犬は「安産」などの言われ(呪い)がある人形もある。「稲荷信仰」の狐・「庚申信仰」の猿・「学問・五穀豊穣」の天神様などの信仰の対象となった人形もあった。様々な人形に謂れがあったが、当時の風俗を写した人形もあった。

飯事遊びは宮中で行われていた「ひいな遊び」に由来する。出土した、ミニチュアの容器や生活道具など様々なものがあり、陶磁器で精巧に作られたものや、装飾されたものなどがある。子どもの競い合う遊びの一つに泥めんこがある。泥めんこを使った遊びに「穴一」がある。平安時代の「意銭」の遊びが江戸時代に穴一となった。多くの賭事があるなか、泥めんこを使用した穴一も賭事の対象となり禁令がでるほどであった。

出土した大人の遊びには、盤上遊戯である雙六や囲碁、将棋や賽子がある。雙六は、賭事に使われ禁令もでたほどである。持統天皇三年(689年)「雙六禁断令」は最古の禁令である。

江戸・明治そして現代へと存続する遊びの起源は古代に求めることができる。


大黒・恵比寿
[大黒・恵比寿]

[犬]
人形
[人形]

[皿]
碗ほか
[碗ほか]
台所用品
[台所用品]
箱庭用の盤
[箱庭用の盤]

[城]
灯籠、橋など
[灯籠、橋など]
将棋の駒
[将棋の駒]
かしら
[かしら]
人形の手
[人形の手]
刀子類
[刀子類]
羽子板
[羽子板]
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