東京大学総合研究博物館

「骨〜かたちと機能を支えるシステム」

展示解説


屋久杉

  1. 屋久杉(樹齢1500年以上)

 屋久島はまさにスギのふるさとである。海抜600mから1,800mを越える山の山頂近くまでスギの天然林が見られる。屋久杉は1,000年生以下を小杉といい、海抜600mの小杉谷は小杉の多いことに由来している。小杉谷を越えると、翁杉、大王杉、縄文杉、いずれも樹齢数千年をこえる巨樹である。わが国のスギは世界に1属1種Cryptomeria japonica D.Donである。

 米国の樹木学者ウィルソンによって大正3年に紹介されたウィルソン株(根回り32m、胸高直径4.4m、推定樹齢3千年)はすでに16世紀に切り倒された屋久杉の切り株であったが、これよりも大きな屋久杉が昭和41年に発見されて縄文杉と名付けられた。根回り43m、胸高直径5.2m、樹高32mで、推定樹齢7,200年とされ、世界の最長寿とされた(その後の放射性炭素法の測定では樹齢2,500年とされた)。縄文杉の内部は腐っているので、現在、正確な樹齢を知ることはできない。

 第二次世界大戦中に伐採されたこの屋久杉の標本は、数えられるだけでも1,500年以上の年輪が刻まれている。樹幹の中心は大きく腐朽しており、材質腐朽菌カサウロコタケStereum taxodiiによる蓮根腐れもところどころに見られる。まさに心霊の宿る霊木の風格がある。
る。

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