東京大学総合研究博物館

「骨〜かたちと機能を支えるシステム」

展示解説


骨とヒトの形態 〜 頭蓋骨の形態進化

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  1. 縄文時代人(福島県三貫地貝塚出土)
  2. 弥生時代人(千葉県佐野洞窟出土)
  3. 古墳時代人(埼玉県深谷古墳出土)
  4. 鎌倉時代人(神奈川県材木座出土)
  5. 室町時代人(東京都大手町出土)
  6. 江戸時代人(東京都大宗寺出土)

日本の古人骨

 日本人の歴史は8000年以上にわたる連続した古人骨標本によって実証的に論ずることができる。これは全国の多くの考古学者や人類学者たちの努力の賜物であり、世界的にみても、各時代、地域の資料が充実している日本の現状は大いに誇れる。当博物館所蔵の古人骨標本は日本でも有数のものであり、小金井良精、長谷部言人、鈴木尚らによって1900年代初頭以来、収集・研究されてきた。中でも鈴木が収集した関東地方を中心とした歴史時代の古人骨群は日本人の生成論に大きく貢献してきた。ここでは縄文時代以後の東日本・関東地方の頭蓋骨の形態進化を示す。縄文時代人は顔が相対的に幅広く、上下に低い。眉間部の隆起ははっきりし、鼻根から鼻梁が特に立体的である。北九州などの西日本の一部における弥生時代人は渡来系の集団からなり、形態特徴も縄文時代人と著しく異なる。しかし、関東地方の弥生時代人は縄文時代人の特徴を色濃く受け継いでいる。古墳時代人は偏平な鼻根部や上下に高い眼窩などの特徴を渡来系弥生人と共有している。その後の時代変化は単調ではないが、現代日本人に近づくにつれ、以下の傾向が認められる。頭の形は前後に短く幅が広く、短頭化が見られる。顔は幅が狭く上下に高く、顎骨は華奢になり前歯前突の頻度が増す。

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