第2部 展示解説 動物界

軟体動物の分類と系統関係

二枚貝綱(Class Bivalvia)

 

古異歯亜網 (Subclass Palaeoheterodonta):

 特徴と なる形質は、 (1) アラゴナイトの稜柱構造をもつ。 (2)殻が3層の殻層からなる。 (3) 胃への消化腺の関口部の数が3つ、の 3形質である (Giribet and Wheeler,2002) 。 殻の内側には真珠構造をもつ。

 (1) サンカクガイ目 (Order Trigonioida):

 「三角貝」と呼ばれるグループで、殻の後端が伸びて殻が三角形に近くなる。かつては繁栄したが、現在はオーストラ リアに Neotrigonia が生き残るのみである。交歯がハの字型に発達し、裂歯型 (schizodont) と呼ばれることがあるが、現在では異歯型との区別は重要ではない と考えられて いる。鰓は糸鰓型である。海産。

 (2) イシガイ目 (Order Unionoida):

 淡水に適応したグループである。淡水に生息する大型二枚貝はほとんどすべてがこの目に属する。黒褐色の厚い殻皮もつ。 鰓は弁鰓型で、幼生を保育する保育嚢 (marsupium) として 肥大化する。殻の内側に真珠層がよく発達し、淡水真珠の母貝として利用される。グロキディ ウム (glochidium) 幼生をもち魚類に寄生するが、この形態の幼生は他の二枚貝類には見られない。交歯の形態は、主歯がよく発達する種から、交歯がほとんどない(edentulous)種まで様々である。

 Beesley et al.(1998) によれば、 2上科6科に分類されている。イシガイ上科 Unioidea のカワシンジ、ユガイ科 Margaritiferidae( 佐々木 ,2002: 図 3-10) は古くから真珠を産出することで知られていた。イシガイ科 Unionidae には、カラスガイ Cristaria Pricataなどのよ うに、日本に分布する大型の淡水二枚貝類が全て含まれる。一方、 Hyriidae は日本に分布していない。 Mutelloidea は日本には分布しないグループである。 カワガキ科 Etheridae は淡水性の固着性の種で、カキの類であるかのように見えるが(佐々木 ,2002: 図 2-42) 、内側 には真珠層がある点でカキ類とは異なる。

 

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