[ニュースという物語]


東京日々新・小型版

新聞錦絵のミニチュア版。芳幾の東京日々新聞を、同じ国芳門下の芳藤が模写している。芳藤は「おもちゃ芳藤」とも呼ばれ、おもちゃ絵の代表的絵師。もとは一枚に九面刷られていたものを切り分けたものと考えられる。ただし一点だけ孟斎(芳虎)によるものが混ざっているので、すでにばらされていたものを集めて貼り込み帖に貼り込んだものと考えられる。

図293

 

錦画新聞・日々新

東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫蔵こちらは、大阪の錦絵新聞を手がけた貞信自身によるミニチュア版。今日現存するミニチュア版の多くが、このように貼り込み帖の形で残っている。切り抜いて貼り込み、自分だけの貼り込み帖を作るという、手作業の楽しみ。

図294

 

錦絵珍談新聞(仮)

東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫蔵
これは横長画面形式のミニチュア版。貼り込み帖の末尾に、切り抜く前の原型を示すために貼り込まれているもの。

図295

 

鶴皋堂襍綴 漫画の部、珍談奇説の部

東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫蔵
貼り込み帖は、いっそう増え続ける新聞紙の提供する情報を、取捨選択し、保管する情報処理技術として、今日に到るまで、多くの人に用いられるようになる。こうした作業を自ら行うことで、受け手は、不特定多数に向けられた複製技術の産物としての印刷物を、自分だけのものに生まれ変わらせる。

図296 図297

 

絵入新聞ぞうし

明治一三年(一八八〇)七月
東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫蔵
冊子体で刊行されたもの。全丁一色刷りで、見開き一面を新聞錦絵調の画面にしている部分が主だが、戯文だけの箇所もあり、巻末には、やはり一色刷りのミニチュア版新聞錦絵が大量に貼り込まれていたり、変わった形態である。

図298

疱瘡絵集

東京大学総合図書館蔵
疱瘡絵は、子どもが疱瘡にかからないように、かかった子どもの症状が軽くすむようにという願いをこめて、子どもの枕元などに置く、護符的力の期待された摺り物。だが、当の子どもは、その絵に落書きしてしまう。

図299

 

新聞画解 明治九年(一八七六)

東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫蔵
これは、切って折ってまとめて綴じると草双紙と同じサイズの本が出来るようにしたもの。折った時山になる部分に、丁数(ページ数)を表す数字が印刷されていることでわかる。

図300

 

新聞図解 明治八年(一八七五)

東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫蔵
こちらは逆に、最初から冊子体に仕立てられて売られていたものをばらして広げて貼り込み帖に貼ったもの。冊子体だったときの表紙の題箋が、貼り込み帖の末尾に貼られている。

図301


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