ロゴ

第四部

知の開放


人文社会系研究科/埋蔵文化財調査室

「知の開放」パビリオンの設営された場所は昔能舞台だった。東京大学本郷キャンパスを発掘し続けて来た埋蔵文化財調査室の仮想展示は、本郷キャンパスの昔、加賀百万石の屋敷とそのまわりの再現である。今のキャンパスの地図と昔の地図を比較したり、発掘品を閲覧することが出来る。実物展示ではかわいらしい飯事(ままごと)道具、箱庭道具、また当時の武士の趣が伺える染付大皿などが展示されている。

また、別の仮想展示として、文学部の留学生のための日本語の語学教育の成果である「留学生作文集」を展示し、内容を読むことが出来る。日本に留学し何を感じているか、留学生の思いの一端に触れることが出来る。

江戸時代の本郷付近の地図能舞台
(左)江戸時代の本郷付近の地図
(右)能舞台

この白い漆喰で槽状に固めたこの施設は、能舞台の下には必ず作られた構造物で、演者や奏者の出す声や音の反響を増幅させる音響装置である。この施設の上に焼き物の甕などを置きいっそう効果をねらった舞台もある。手前が舞台、奥が橋掛りと呼ばれる廊下部分にあたる。19世紀には本郷邸の御殿には表と住居部分の二つの能舞台があり、それぞれ異なった性格を持っていた。これのあった場所は住居部分にあたり、政務を離れたプライベートな性格を持つ舞台であったと推定される。【19世紀/医学部教育研究棟地点】
肥前産染付大皿肥前産染付大皿
肥前産染付大皿

器形や文様などから1650〜1660年代に、肥前の長吉谷窯で焼成された製品であると思われる。皿の裏側の高台には、焼成時に皿の中央が垂れるのを防ぐために使用されたハリというものの熔着痕が3箇所認められる。
飯事道具
飯事道具

これらは19世紀 初め(文化・文政期)の子供たちが遊んだものである。これらの中には子供の名前「と茂」・「三吾」・「と」・などが墨書されているものもある。また、当時の生活用品を伺い知ることができる。
箱庭道具肥前産色絵燭台
箱庭道具

箱庭道具とは箱などに小さな風景を表現したものである。これらは 19世紀 初め(文化・文政期)のもので庶民のささやかな楽しみの一つだった。城などの大型製品は加賀藩主の屋敷 地から出土したものである。 ふっくらした蛙は「浮き人形」と言い、箱庭の池などに浮かべて遊んだものである。他に鴛鴦もあり、また陶製のものもある。
肥前産色絵燭台

17世紀中頃に焼成されたと思われる燭台である。燭台には様々な材質のものがあるが、磁器製はあまり見られない。量産品ではなく、一点ものを購入できた加賀藩の財力とともに、文化水準の高さを示す一品といえる。


前のページへ 目次へ 次のページへ