[第一部 デジタルテクノロジー]
見せ方の多彩化
博物館携帯用PDA端末には赤外線を使った通信規格である IrDAが装備されて、必要な情報が赤外線無線通信で入って来る。展示物の前にこの端末をもっていくと、その展示物の解説を自動的に表示することができ、BTRON仕様OSの実身仮身モデルにより情報がハイパーテキスト感覚でブラウジング出来る。640×240ドットのモノクロ液晶画面、1スロットのPCMCIAを持ち300gと軽量。単三乾電池2本で約50時間動作可能。 |
スーパーIDカードは、来訪者の位置とその人の属性のセンサー(検知器)である。これにより展示の演出を変えることが出来る。同様にデジタルミュージアムの展示では多種のセンサーが利用される。振動やショックを検出するセンサーを銅鐸のレプリカに仕込むと、叩くと音がする銅鐸が出来る。単に音を録音したものを流すだけよりも、実感としてインタラクションができた方が興味深く体験出来る。
ビデオオンデマンド(Video on demand)も来訪者とインタラクションをしながら展示内容を変化させる技術である。これはタッチパネル等による人からの指示によって、映像や動画を即座に呼び出す。従来はビデオカセットやレーザーディスクをストックから機械的に取り出してプレーヤにかけるというものであり、呼び出しまで時間がかかり途中再生も困難であったが、現在はデジタル圧縮技術によりハードディスク上から瞬時に目的の部分の映像を再生することが出来る。従来のように1本10分とか30分という映像をながなが見るというのではなく、いわばロールプレーイングゲーム感覚で自分の好きな展開で映像を見て行くことが出来る。
モーフィングという技術がある。例えば子供の時の顔から大人の顔までの変化を連続的に動画として見せる技術である。最初と最後あるいはその中間点の顔の対応点を決め、変化の各段階を補間により計算で形成する。これらの画像を連続的に再生すると子供の時の顔から大人の顔まで連続的に変化する動画が得られる。生物の発生の様子をみたり、猿人から原人、旧人、新人への進化を想定してたどってみることが出来る。
(坂村 健)
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