「ヒトの特徴として、とにかく頭が大きく顔が小さい。これは、ほかのサル類や動物に照らし合わせると、いうなれば幼児の状態が大人期にまで残っていることに相当する」、と長年指摘されてきました。ネオテニーは「幼形成熟」と訳され、成長期のままの状態で性的成熟に達し、大人になってしまうことをいいます。人類進化においては、成長速度が全体として遅滞する方向に変化したことで、祖先の幼児期の状態が大人にまで残ってしまうのだろう、という考えです。専門家の中でも、従来から注目されてきた学説ですが、私にはピンときません。
逆に、頭にしろ、顔にしろ、各々の進化の経過があって、たまたま双方のバランスが、祖先状態の「幼形」に表面的に似てしまったと考えることができます。