政治媒体としての新聞 情報普及媒体としての新聞の力を認識し、それをもっとも有効に活用してきたのは国家権力である。とりわけ第一次大戦以後、ワイマール体制下で独裁者ヒトラーに率いられたナチス党の宣伝戦略では、かつてないほどに新聞が重要な役割を担っている。また、同じことはファシスト党を率いたムッソリーニの政治プロパガンダにおいても、さらにはスターリンによる共産党独裁体制下のソ連邦、軍部指導の翼賛体制下で情報源を掌握した戦時下の日本においても言える。
47. 政治宣伝紙『パノラマ』
第一次大戦中に発行されたフランスのプロパガンダ紙。フランス語、英語、ロシア語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、アラビア語等、まさに多言語で表記されている。当時としては写真が異例の大判で扱われている。ソンムの戦況を伝える第一面の写真を子細に眺めると、各所に修正が加えられていることがわかる。 48.週刊紙『レーチ(言葉)』
ロシア革命前年の政治状況を伝える保守系総合新聞。紙面の大きさは異例。 49.週刊紙『ルスキイ・ゴーロス(ロシアの声)』
中ロ極東鉄道開通に協力した人々の履歴や鉄道敷設における逸話などが記事の中心であり、精神においては保守的な紙面である。 50. 週刊イラスト入映画新聞『キノ・ガゼータ(映画手帖)』
労農赤軍映画部、映画学校部門、西洋ニュース部門、映画技術ニュース部門等の協力の下に刊行された。映画の世界における生産主義と構成主義の両立を目指そうとする映画新聞の第二年目の紙面。紙面は見事な構成主義スタイルで構成されている。第一面にはサヴィツキイのフォトモンタージュによエイゼンシュテイン映画「ストライキ」上演のニュース。革命7周年の記事、プロレタリア映画論、ドイツ、イギリスなど西ヨーロッパ映画紹介、ソヴェト映画史、映画週報などの記事。第五面と第六面にはゴスキノ(国営映画)の映画広告。エイゼンシュテインの映画「独裁へ」など広告あり。
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