第2部 展示解説 動物界
魚類の多様性

 

 

 フグ目 Tetraodontiformes [ 2亜目 10科 100属約 340種 ]

 非常に特殊化した魚類である。体は側扁したものから球形のものまで様々で、大きさも約 2cm から 3m を超えるものまである。口は小さ く、少数の大きい歯や噛のような歯板をもつ。上顎は伸出不可能。 マンボウ科 Molidae を除いて鰾をもつ。背鰭と臀鰭を振って遊泳する 種が多い。最古の化石は白亜紀後期の地層から発見されている。 一部を除いて海産。約 12種は淡水域にのみに生息し、全部で約 20種が淡水域でみられる。

 

 モンガラカワハギ亜目 Ballstoldei [ 6科 71属約 155種 ]( 図 30 、 31)

 顎歯は癒合していない。
  カワハギ科 Monacanthidae( 約 70種 ) とモンガラカワハギ科 Ballstidae(30 種) が多数の種を含む。これらの魚類は大西洋・イン ド洋・太平洋海域に分布している。

 

 フグ亜目 Tetraodontoidei [ 4科 29属約 185種 ]( 図 32)

 顎歯は癒合し、鳥の嘴状。腹鰭はない。
  代表的な科であるフグ科 Tetraodontidae( 約 160 種) では、ほとんどの種がフグ毒をもつ。顎歯は 4個 ( 上・下顎に 2個ずつ ) で、腰帯はなく、背鰭は軟条のみからなる。大西洋・インド洋・太平洋の熱帯・ 亜熱帯海域に分布するが、いくつかの種は汽水や淡水域に入る。 汽水・淡水域に生息する種もいる。

 

<備考>
  阿部宗明 (1911-1996 、 1935年理学部動物学科卒) は、理学部大学院、 総合研究資料館 ( 現総合研究博物館 ) 、水産庁東海区水産研究所、おさかな普及センター資料館などにおいて、長年にわたり魚類の分類学的研究を行った。 研究対象とした分類群は大変幅広く、魚類全般を扱ったが、特にトビウオ類 とフグ類に関するものが有名である。動物部門は、フグ類を中心に阿部が研究した標本を多数保管している ( ダツ目ダツ亜目の備考参照 ) 。

 

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