気圏

 

古代パビロニアの文明からこのかた、 「気」はいまだ形の定まらぬ状態にある質料を蓄える 場と考えられてきた。古代ギリシャではそれが翼を備 えた擬人像か、さもなくば鳥類の姿によって示された。 古典古代からキリスト教世界に受け継がれた宇宙誌には、基点方位を「風」の擬人像によって示すという 図像学が存在する。東西南北にはそれぞれ東風 ( エ ウ口ス ) 、西風 ( ゼピユ口ス ) 、南風 ( ポレアス ) 、北風 ( ノ卜ス ) の門がある。ユダヤ = キリスト教は、ギリシャ 人の考える「風」を創造主の口から出る「息」と考え、主なる神が土の塵でかたちづくった人(アダム) の鼻に吹 き入れた霊 (spiritus) と見なした。ために、「気」 は天地創造において第一義的な重要性を持つとされたのである。




 

HOME


Copyright 2003 Mark Dion & The University of Tokyo