大阪錦絵新話 第二号
(川に落ちた車夫と女客が助けられる)
前者と同じく、赤い囲み枠と縦長の題号を天使が支えるデザインを用いているシリーズ。この号は版元が阿波文で、絵と文章が笹木芳瀧である。大阪の新聞錦絵では、しばしば絵師が文を書く役も兼任した。当時の大阪の町並みがうかがえる絵である。
大阪錦絵新話 第二号
長堀/末吉橋通り/丼池の。川に男女が/さけぶ聲。助けて/暮すぎ八時頃。暗夜の/ことに雨ふりで。しかとハしれねど/情死の。仕損じならんか助けんと。/かけつけたるハ真意の。名も善七が/眼をとめて。見れバ人力車ゆへ。引上ん/とてあせるうち。巡吏何某はせ来り/やふやふ車助けあげ。様子を聞けバ車/夫ハ第六大区一小区中木亀吉といふ者にて/客ハ高津町四番町松井熊吉が母ことにて/てうちんの灯が消より。路を失ひ川中へ/車を曳込ミ/たりしとハ。向ふみづ/とハいいながら幸ひに/して善七と。巡吏/とが折よくも来た/られしこそ助りしなるべし/あぶない事あぶない事/
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