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東京大学総合研究博物館縄紋土器コレクション

東京大学総合研究博物館人類先史部門には、多くの縄紋土器資料が収蔵されている。これは明治初年以来日本全国から寄贈されたり、理学部人類学教室による調査で得られたものである。これらの資料は山内清男の縄紋土器研究の基本的資料となり、彼によって編年上の位置が決定されたものが多い。したがって縄紋土器型式の基準標本が多く含まれていることに特別な重要性がある。

山内清男(やまのうちすがお、1902〜1970)はそれまでの空想や常識論的な先史学に疑問を持ち、客観的科学性を重んじた遺跡遺物の研究方法をもって日本の先史考古学の体系を構築した。その研究の基礎は土器形態の厳密な観察・分析にあり、土器の進化論的変化と遺跡での出土状態をもとに、土器型式群を時間的地域的に配列し、全国的なネットワークに編成した。この編年網の上において日本先史文化の変遷を説明した。

山内の研究はこのような基礎的部分の構築に終始したわけではなく、早くから弥生文化の本質を把握し、北海道・沖縄の先史文化を的確に位置付けるなど、現在からみて驚異的な先見に満ちている。戦後は放射性炭素年代測定に依存する安易な研究の方向に警鐘を鳴らし続け、佐藤達夫とともに独自の論陣を張った。

東京大学においては身分的に恵まれなかったが、その研究方法および学問体系は現在の日本先史文化研究の骨格をなし、今日なお多くの研究者から尊敬と高い評価を受けている。

 

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