第4章 教育の整備—東京帝国大学の創設と列品の思想




明治23年東京農林学校は農科大学として帝国大学へ編入され、明治30年6月帝国大学は東京帝国大学と改称した。1900年のパリ万国博覧会に向けて編まれた写真帖『東京帝国大学』には、煉瓦を使った英国風の校舎の整った様子が記録されており、学内での教育がほぼ申し分のない環境のなかで行われるようになったことがわかる。

とくに陳列場の充実ぶりには瞠目すべきものがあり、西欧から購入された参照標本群が展示されたさまは壮観である。見事に整序された教育環境は、しかし、大正12年の関東大震災で壊滅的な打撃を被ることになる。



前頁へ   |   表紙に戻る   |   次頁へ