明治十四年小石川植物園日誌

五月


五月一日 曇 日曜
加藤竹齋出頭
〔欄外〕園丁事業ノ事
園丁事業本日より午前七時より午後六時終る
四月中縦覧人員
千四百弐拾五人
特許証弐拾枚
右之通門守赤阪正申出候二付則本部江申遣候事
二日 曇 月曜
休暇
松本駒次郎母病気ニ付本日より三週間御暇願
相濟國元江帰省致候事
三日 曇
賀来飛霞加藤竹齋松井昇出頭
松村任三参園有之
本月三日より来七月十日迄當掛物品渡時限
午前第八時より午後第一時迄ト相定候事
右調度掛より達有之候事
四日 曇
松村任三参圓之事
賀来飛霞加藤竹齋出頭
五日 曇
賀来飛霞加藤竹齋出頭
當園林泉集會所新築見分として文部卿福岡
孝悌殿参園有之候事
六日 小雨
賀来飛霞加藤竹齋出頭
先達て臨時人足雇入之百人伺濟之書面調度
掛ニて入用趣二付一綴相廻置候事
本月三日より八時出頭午后二時迄数え□調度掛ニて承候事
七日 南風雨 土曜日
賀来飛霞松井昇加藤竹齋出頭
八日 晴 日曜
賀来飛霞加藤竹齋出頭
九日 曇 月曜
休業
十日 晴
賀来飛霞加藤竹齋松井昇出頭
〔欄外〕弐千枚内
植物標札百枚出来候ニ付受取置候事
新鉢場水溜タ、キ壱ヶ所伺濟書面相廻越候事
東京師範学校より請求之草木来ル十七日午前之内受取人差出ス旨
達之事
松村任三参圓之事
十一日 晴
賀来飛霞加藤竹齋出頭
園内物置錠鍵五個受取候事
十二日 晴
賀来飛霞加藤竹齋出頭
松井昇出頭
十三日 曇
賀来飛霞加藤竹齋出頭
昨十二日小石川區水道端警察所より達ニ付
斎藤荘介并小澤又右衛門出頭候所昨年四月
中當園内二捨有之候七品其節見出人亦右衛門江
小石川警察署交付相成候間其段本部江御届致候事
十四日 土曜 小雨午後晴
賀来飛霞松井昇出頭
十五日 日曜 曇
賀来飛霞加藤竹齋出頭
一煙草盆五ツ本部より出来候事
十六日 月曜
休暇
十七日 晴
賀釆飛霞加藤竹齋松井昇出頭
東京師範学校より植木請取として吉田真玖珠参園致二付
百三十八種相渡右之段本部記録掛江通知二及候事
一過日注文之植木鉢類品々調度掛より被相送候事
十八日 晴
賀来飛霞加藤竹齋出頭
植物標札ペンキ塗弐百五十枚出来受取候事
千葉師範学校職員
小島栄三
植物園中集曾所新築許可相成二付テハ樹木取除方等営繕掛より
可有御協議候間諸事可然可取斗旨本部記録掛より達有之候事
十九日 晴
賀来飛霞加藤竹齋松井昇出頭
二十日 風曇
賀来飛霞加藤竹齋出頭
〔欄外〕五月廿日御聞濟願出廿四日御達候成
一西京河原町荒神口下ル弐百十七番
松本駒次郎より老母看護猶三週間通願書ニ通差越候ニ付
本日本部記録掛より願書差出候所請取書来ル
一種物入洋紙袋百五十枚調度掛より送付有之候事
廿一日 晴 土曜日
賀来飛霞加藤竹齋松井昇出頭
廿二日 晴 日曜
賀来飛霞加藤竹齋出頭
廿三日 雨風 月曜
休暇
廿四日 雨
賀来飛霞加藤竹齋松井昇出頭
松本駒次郎母病気看護三週間通願本日御聞濟
御達ニ付即時西京表江郵便差立候事
来廿八日土曜日午后芝公園内紅葉館二於テ外國教員饗応之節能狂言興行
右観覧
望ノ向ニテ事務差支無之分ハ談場臨席不苦候条綜理より御達有之候事
廿五日 曇
賀来飛霞加藤竹齋出頭
松村任三参圓之事
二回植物御梯下伺書下本部調度掛江届出置候事
廿六日 曇
賀来飛霞加藤竹齋松井昇出頭
植物標札六百枚納入より相廻越之
今般衆會所新築ニ付仮門弐ヶ所相建候ニ付材木其外取締として當門守
三人ニテ日々弐人宛出張致見廻らせ夜ニ人候テハ五月中夜明三度ヅゝ
夜中見廻心付候様記録掛より直ニ達二付談段山路信明へ相達候事
廿七日 曇
賀来飛霞加藤竹齋出頭
廿八日 晴
賀来飛霞加藤竹齋松井昇出頭
御門衛増両人記録掛より達可持参出頭二付
赤阪正江引渡事 但達書ハ綴込  ニ在之候事
東京府士族
山崎善徳
廣島縣士族
高橋 進
右當分之所門守助
廿九日 曇日曜
賀来飛霞加藤竹齋出頭
三十日 曇 月曜 雷大雨
休暇
正門 弐人詰
内壱人 旧門主壱人
壱人 新門主壱人
仮門 壱人詰
旧門主壱人
小遣 壱人
右之通更ニ御達ニ付赤阪正江相達候事
三十一日 曇
松本駒次郎
昨三十日帰京御届濟
松本駒次郎賀来飛霞加藤竹齋出頭
〔欄外〕仮御門始
本日より仮御門衛宿直斎藤荘介
一種子状袋弐百枚
右送付有之候事
〔欄外〕惣〆千五百枚
一植物標札五百五拾枚
右出来送付之事
植物標札弐百枚